小学校教師しゅんの青年海外協力隊ライフ

こどもの笑顔が世界をつくる。ボツワナの小学校で活動する青年海外協力隊員が、日々の活動やボツワナの文化、感じたこと・考えたことなどを発信していきます。

プライズ・ギビング

学校で、「プライズ・ギビング」というイベントがありました。

どういうイベントかと言うと、成績が優秀だった子供たちに学校からご褒美のプレゼント(プライズ)が贈られる、というイベントです。


朝学校に行くと、キッチンのおばちゃんたちだけでなく、先生たちも忙しそうに料理していました。

保護者の人たちに振る舞われるお昼ごはんを作っているそうです。

学校からごちそうが振る舞われるって、日本でのイベントではないことですよね。

まあお金は保護者の人たちに出してもらっているのですが。



校長先生のお話のあとに、イベントがスタート。


最初は、ペアダンスの発表です。


次に、伝統的なダンスの発表がありました。

周りで座っている子たちの手拍子に合わせて踊ります。

足踏みをするたびに、足につけている楽器の音がシャカシャカと小気味よく響きます。



ダンスで盛り上がった後は、いよいよメインのプライズギビング。


司会は、ハンチ小学校きってのイケメン、モツァマイ先生。


英語、算数など、各教科ごとに、学年で一番の成績をとった子供が呼ばれていきます。

保護者の人と一緒に出てきます。


そして、賞品を受け取ります。

だいたい、親のほうが嬉しそうだったり。笑

写真の子は、5年生のほとんど全ての教科で一位をとっているので、たくさん賞品をもらっていました。

なんと7年生には特別に、現金もプレゼントされます。


まわりの子たちは、それを羨ましそうに見つめています。


最後にもう一度、ペアダンスをしてイベントはおしまい。


このあとは、全員に料理が振る舞われ、食べ終わった人から帰っていきました。



このイベントを通して考えたのは、学習成績を他人と比較することについて。


正直日本で同じイベントをやったら、批判が殺到しますよねきっと。

まず、少なくとも小学校段階では、勉強の出来をあからさまに比較されることがほとんどありません。

子供たち同士でテストの結果を見せ合ったりすることはありますが。

成績優秀者が表彰されることもありません。


なぜでしょうか?
理由を考えてみました。


まず一つには、成績が低い子たちを悲しませたくない、という思いがあると思います。

それによって自己肯定感が下がってしまうと。


もう一つには、教育に競争原理を持ち込みたくない、という思いがあると思います。

「一番になってご褒美がほしい」という思いは、たしかに子供の勉強をする意欲につながるかもしれません。

しかし、「勉強っておもしろい」という、純粋な学習意欲からは離れてしまいます。


ほかにも理由はあるとは思いますが、そういった思いから、学習成績で比較されることはあまり良しとされていないのではないかと思います。


正直、どちらがいいのか今の僕にははっきりとはわかりません。
なんとなく、積極的に比べはしないほうが良い気はしますが。

これはもう少し、今後考えていく必要があると思っています。



もう一つ今日思ったのは、「一番になっている子は良い環境の中で育ったんだろうな」ということ。

もちろんその子の努力の結果でもありますが、育った環境がかなり大きな影響力をもっていると思います。


特にそれは、このハンチという特殊な地域で強く感じられます。

以前にもブログで書いたように、ハンチではさまざまな民族が暮らしており、小学校にもさまざまな民族の子供たちがいます。

ツワナ、カラハリ、ヘレロ、ンブクシュ、サンなど…。
そしてそれぞれ、違う言葉を話します。

でも、学校で習うのは国語であるツワナ語と英語です。

つまり、最初からツワナ語がわかる子とわからない子では、すべての教科の理解度が全然違ってきます。


そして今日イベントを見てて感じたのは、プライズを手にしている子はツワナの子たちが圧倒的に多い印象だということ。

原住民族であるサンの子たちは一人もいませんでした。

ヘレロ語やカラハリ語は、ツワナ語と同じ「バントゥ語族」という仲間に属しているので、まだ文法的にも似ています。

しかし、日本語の文法に似たサンの言葉を話す子たちは、どうしても言語の習得に時間がかかってしまいます。

その結果、学校での学習全体が遅れていってしまう。


そんな、生まれもっての環境によって勉強がままならない状況の子たちがいる中で、たまたま良い環境で生まれた成績優秀者にプライズが渡されることに、なんとも言えない不平等感を感じてしまうのでした。


でもこれって、よく考えたら僕らが住む世界も同じですよね。

世界には、水も電気も不安定で、病院には気軽に行けず、ちゃんとした教育を受けることのできない人たちも、まだまだたくさんいます。

僕はたまたま日本という、物質的に豊かな国に生まれたから、水にも電気にも困らず、気軽に病院に行き、ちゃんとした教育を受けることのできる生活をしてくることができました。

それは僕が努力したからではなく、ただの運です。

生まれたところが違うだけで、物質的にこれほど得られるものが違うのって、やっぱり不平等ですよね。

それが今の世界の姿なんだと思います。

(精神的な豊かさとはまた別の話です。物質的に豊かでも精神的に豊かだとは限りません。)


今回のイベントでは、成績優秀者にご褒美を渡す光景が、その生まれもっての不平等を積極的に人々が受け入れ、喜び合っているように見えてしまって、どうしても違和感を感じてしまいました。

イベント自体は楽しくて、日本では見ないようなさまざまな光景を見ることができて、良かったなと思っていますが。



まあそもそも、「良い成績をとって良い学校に進み、良い仕事に就く」ということを良しとする、現代社会の価値観が見直されていくべきなのかもしれません…。

と、その価値観を再生産している学校というシステムに思いっきり加担している僕が考えちゃったり。

先生になる前から、ときどき考えていることです。

自分のやっていることは、本当に正しいことなのだろうかと。



なんだかまとまりのない文章になってしまいました。

今日はこれでおしまい。


いやー、まだまだ、いろいろ考えるべきことがあってワクワクしますね!!笑


子供たちの笑顔を見ると、そこにある瞬間だけは絶対に本物だと思えます。

いつもありがとう。


明日もがんばります!



それでは。シャープ!👍



ここまで読んでいただきありがとうございます。

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