全員が九九を言える学校に
ここ最近、ずっと自分の活動をどう進めていくか悩んでいました。
ですがこの度、僕の帰国までの目標の一つとして、「かけ算の九九を3年生以上の子供たち全員が言えるようになる」ということを掲げて活動していくことに決めました。
ハンチ小学校の子供たちは、ほぼ全員と言っていいほど、九九を覚えていません。
ですが正直、九九なんて言えなくても人は生きていけます。
かけ算はたし算の繰り返しなので、5×4が分からなくても、5+5+5+5をすれば答えが出ます。
「ゴシニジュウだから答えは20」
という思考より、
「5×4は『5が4つ分』だから5+5+5+5=20」
という思考のほうがよっぽど算数的に価値があります。
九九が言えるように指導することで、かけ算の本質的な理解をしないまま育ってしまうことにもなりかねません。
また、「子供たちが九九を言えるようになること」を目標に活動をしていくかどうか考える上で、以下の記事の内容が引っかかっていました。
学力世界一のフィンランドでは「九九」を暗記せず、「電卓」を使う(シェーン・スノウ) | 現代ビジネス | 講談社
タイトルにもあるように、記事によるとフィンランドでは、九九を覚えず電卓を使って計算するとのこと。
これからの世界で必要になってくるのは、暗記をベースにした計算力よりも、計算をどのように活用するかという思考力です。
電卓という便利なツールがあるのなら、それを活かして計算する手間を省き、計算を活かす思考の時間を充実させるべきだ、という趣旨です。
たしかに、一理あると思いませんか。
現代社会では、スマホを使えば計算も一瞬でできるし、たいていの知識は手に入ります。
最近では、AIの技術の発展もすさまじいですよね。
であるなら、人間は機械にはできない(まだ難しい)知識を活かす思考力をより磨いていくべきだ、という意見にもうなずけます。
そんな中で、子供たちに九九を覚えさせる活動を行なっていくのは、その流れに逆行していることなのではないか、思考力を育む時間を奪ってしまうことにもなりかねないのではないか、と悩んでいました。
しかしやはり僕は、「子供たちが九九を言えるようになること」を目標に掲げて活動することを決めました。
理由は2つあります。
①かけ算は、多くの単元の基礎になっている
かけ算がベースになっている単元は、かなり多いです。
まずわり算がそうですよね。
わり算は、かけ算をひっくり返したもの。
3×5=15
がすらすらと出てこなければ、
15÷5=3
はパッと出てきません。
実際ハンチ小学校の子供たちは、15÷5という式を見ると、真っ先に15個ノートに丸を描き、5個ずつ大きな丸で囲んでいきます。
そしてようやく、答えの3にたどり着きます。
算数の意味的にはちゃんと理解できている証拠なのですが、やはり解くのに膨大な時間がかかってしまいます。
また、分数、割合、比、速さ、面積など、かけ算をベースにした単元は他にもたくさんあります。
そのたびにかけ算に時間がかかってしまうと、肝心な各単元の学習内容への理解度も薄まってしまいます。
実際、上に書いた単元は、テストを分析した結果軒並み成績が低かったです。
一方、単純な計算問題は割と正答率が良い。
このことからも、普段の授業において、計算に時間がかかってしまい単元の学習内容がしっかり学べていないことが伺えます。
そして、ボツワナの小学校には、子供たち全員に配る電卓はありません。
速く計算を行い、思考の時間を増やすためには、九九を覚えるしかないのです。
きちんと九九を習得することで、他の単元において算数的な思考力を育むベースが生まれると考えました。
これが、九九を覚える活動を行っていこうと決めた理由の一つです。
②全世界で九九を覚える教育が行われている。
上に載せたフィンランドについての記事を読んで、気になっていたことがありました。
それは、他の国では九九は扱われているのか、ということ。
もし九九を扱っていない国があるとすれば、その国を参考に別の道も考えられるかと思ったからです。
そこで、以前海外に留学していたり、現在海外に住んでいたりする友人たちに協力を依頼し、その国の九九事情について調べてもらいました。
協力してくれた方々、本当にありがとうございました…!!
今回調べることができたのは、イギリス、ドイツ、フィンランド、アメリカ、キルギス、タンザニア、ミャンマーです。
それによると…
すべての国で、九九を覚える活動は行われている!!
そう、なんと…
フィンランドも含めて!!!
なんなんだあの記事は。フェイクなのか。笑
もしかしたら、一部の私立校などで行われている教育なのかもしれません。
とにかく、全世界で、少なくとも僕が教えてもらった国々では、九九の暗記は行われているようです。
やはり、思考力を育むベースには、最低限の知識が必要不可欠なのかもしれませんね。
ということで、以上の2つの理由から、「3年生以上のすべての子供たちが九九を言えるようになる」ということを目標に活動していくことを決めました。
3年生以上とした理由は、ボツワナのカリキュラムでは3年生で初めて九九表が教科書に出てくるからです。
やると決めたら、全力でやります。
もちろん工夫して、楽しく!!
ただ無理矢理覚えさせるのでは、算数嫌いの子供たちを増やしてしまうだけです。
「みんなが九九を当たり前のように言える学校」を目指していきます。
またの機会に、調査した各国の九九と、九九に関する今後の活動案について書きたいと思います。
それでは。シャープ!👍
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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